参入困難な送電事業

自由化でポイントとなる設備はどんなものでしょうか。
今回は送電事業について、その設備価値と重要性を解説します。

設備の要、送電

電力事業には膨大な設備(インフラ)が必要です。
発電所、送電線、電柱や配電盤など、電気を作り、送り、配る施設が無いと事業は成り立ちません。

電力事業は、発電、送電、配電の3つに分けられますが、
それぞれの設備にはどれくらいのお金が必要なのでしょうか。
「電力事業」というと「発電所」のイメージが強いため、
多くの人は発電所にもっともお金がかかると考えているのではないでしょうか。

ここで関西電力を例に、それぞれの設備規模を比較してみます。
関西電力のレポートから施設の簿価(91ページ)を見ます。


簿価とは会計上の資産額ですが、
施設の価値をごく大雑把に把握するためにここでは参照します。

表の項目を大雑把に3つの事業に分類すると、
水力発電設備、汽力発電設備(火力発電所)、原子力発電設備が発電事業に、
送電設備、変電設備が送電事業に、配電設備が配電事業に分類されます
(厳密には発電事業や配電事業に含まれる変電所などもありますが、ここでは考慮しません)。

これらの簿価を合計すると以下になります。

発電事業 約1.1兆円(1,119,123百万円)
送電事業 約1.4兆円(1,412,666百万円)
配電事業 約0.8兆円(845,045百万円)

どうでしょうか。 発電所以上に送電線に価値がある状態です。
これは関西電力に限らず、多くの電力事業者で同じ傾向があります。

発電事業よりお金がかかる送電事業の重要性を、まず理解してください。

自由化の要、送電

送電事業の設備には発電所以上のお金がかかります。
また既存の設備で十分に需要が賄えるため、自由化の後も独占・寡占状態が続きます。

ここで重要なのは自由化の状態で、
送配電事業がきっちり独立していることではないでしょうか。

新規参入の発電事業者と、昔の同僚が働く既存発電事業者を、
それぞれ取引先として同じ土俵の上で取引できるような、
特別厳しい制度が送配電事業には必要です。


今後、送配電事業に対する規制がどこまで具体的に整備されるかが、
自由化が健全に進められるかどうかのポイントとなります。

 
関連記事
  • 電力自由化を理解するための3つの区分